眠らせた夢は夜中に賦活する 騒ぐな背中羽なんかない

毎日に忘れかけてる敷妙の黒髪 夏はとうに終わった

砲兵はただ標的を撃つ 空を飛ぶ謎の大仏の生首

ふるさとの風を忘れた子狐のだるいエントロピーのかたまり

犀だっけ？河馬だったっけ？夢だっけ？ピンクの汗を流すやつって

意味のない童話 寝た子を起こすなと知らない人に罰を与えよ

ネガティブな文脈だけにあらわれて突き抜けていくドライブボレー

栄冠は輝かないで雲だけが沸き ビーチサンダルの靴(？)ずれ

稲中の前野みたいなツラをして生きたって生きなくたっていい

漫喫のかそけきイージーリスニング 蹉跌とは温まりゆくコーラ

１割のふりをしている９割を見ておきな勉強になるから

蹴り飛ばす缶が転がっていく音 これは乾いて痩せた魂

団欒は多分壊れはしない的TRPG

真夜中のタイムマシンをぶっ壊せ 残された牙タンカゲリヲン

右耳に残る言葉を鼻に抜き煙も花も消えゆく決まり

逃げたのはむしろ俺なのだろう 春 何も為さない二月の終わり

脈絡のない真実をデス声で歌うから聞け それか逃げ出せ

何でもいい褒めて煽てて 昇るから木でも滝でも持って来やがれ

木曜は不燃ごみの日 部屋中に散らかる"なぜ"を袋に詰める

大人ヅラして捏ね上げる楽園は誰にとっての楽園だろう

なおも問う これは腐敗か発酵か 不敗を嘯く穴倉の中

昼過ぎのお好み焼き屋 長椅子に座る少女の胸に棲む鳥

アホ面で首から下げたルサンチマン 増やし続ける内臓脂肪

全損になっちゃうからね 欲望の形自体が違うのならば

カスケードシャワーのように降り注ぐ 思い出 痛み 光 眩しい

触角のもげた蟻とは違うから九月になればくるくる廻る

玩ぶ いつか母乳に含まれるカルシウムへと還りつくまで

新しい世界を手に入れよう 秋にぶっ壊れてやる必要もない

寝かけると突然強い雨が降る 本気で軽く死ねそうな闇

雷のフラッシュライトで撮る写真 取り残された指示代名詞