老いていこう逆台形の夏影に呑まれ今年も君とひとりでまず最初に謝っておくが、写真に関しては完璧に門外漢もいいところなので、頓珍漢な事を言いかねないのでごめんなさい。この写真歌集に限らず、(少なくとも発表している)彼の写真にはテーマとして海が多…

待つことに疲れ果てたと諦めて切れたリチウム電池の寿命

やみそうにない夕立が罰を詠む僕の乃至は僕たちの罪

愛なんてさっぱりわからなかった と 落ちきっていく砂を見ている

"ひとつ"にはとどかないからせめて熱伝導率を改善しよう

じゃあまたね assたるegoと月の猫 今度こそひとりぼっちの庭

雨を抱く 涙を拭う指だけがあり 拭うべき涙はなくて

部屋にいた 週末ずっと雨だった 「所詮はただのポーズでしょうよ」

灼けきった残渣としての海へ出る暑くあれども熱のない夏

空腹でいることすらも忘れてた贖罪を待つ餓狼の唸り

死んだとさ 瓦礫の国の王様は人の悪意の掃射の中で

「危機」「奇跡」「凶器」「啄木鳥」「吸血鬼」「君が大好き」…君のため息

通過する君の育った町並みは寝息を立てる工場地帯

だとしても世界は回る 味噌汁に雪のよう降り注ぐ電磁波

遅すぎた手紙を書こう また色を変えていく6月の紫陽花

おめでとう あなたの愛が公式にAgapeと認められましたね

空の青 説得力の十分なバックドロップ喰らった恋だ

風化する水槽に咲く赤い花 あんな顔して笑ったんだぜ？

ぜつぼうにかまける人のメガホンが沈んだ海に震える若布

入れながら出す不可解なミステリー 蜂蜜色の目をしたけもの

うなされて謝罪しながら射精した どこか遠くでカルキのにおい

祝日のハニートースト蜂さんに感謝もちろん君にも感謝

でたらめに繰り返すのも君の意思 つみきつねことりんごりらっぱん

「生きる ってそういうことさ」馴染んでく洗い晒しのワイシャツの白

在り得ない背中に触れたはずの手に時折襲いくる幻肢痛

咆哮は気層の底に光射すその方向へ つまりは空へ

お別れの準備 いつかのマシュマロは干乾びていく僕たちのヒビ

ついてない？諦めたのはテメーだろ？いつか失くした1/2だ

心根は表木綿の裏甲斐絹 煙草で出来た焼け焦げひとつ

この指輪…美紗もとりあえず間抜けだな 三十路の意識「紙のMoney！Money！」