043:輝(南葦太)

栄冠は輝かないで雲だけが沸き ビーチサンダルの靴(?)ずれ

042:稲(南葦太)

稲中の前野みたいなツラをして生きたって生きなくたっていい

041:喫(南葦太)

漫喫のかそけきイージーリスニング 蹉跌とは温まりゆくコーラ

040:勉強(南葦太)

1割のふりをしている9割を見ておきな勉強になるから

039:蹴(南葦太)

蹴り飛ばす缶が転がっていく音 これは乾いて痩せた魂

038:的(南葦太)

団欒は多分壊れはしない的TRPG

037:牙(南葦太)

真夜中のタイムマシンをぶっ壊せ 残された牙タンカゲリヲン

036:右(南葦太)

右耳に残る言葉を鼻に抜き煙も花も消えゆく決まり

035:むしろ(南葦太)

逃げたのはむしろ俺なのだろう 春 何も為さない二月の終わり

034:聞(南葦太)

脈絡のない真実をデス声で歌うから聞け それか逃げ出せ

033:滝(南葦太)

何でもいい褒めて煽てて 昇るから木でも滝でも持って来やがれ

032:詰(南葦太)

木曜は不燃ごみの日 部屋中に散らかる"なぜ"を袋に詰める

031:大人(南葦太)

大人ヅラして捏ね上げる楽園は誰にとっての楽園だろう

030:敗(南葦太)

なおも問う これは腐敗か発酵か 不敗を嘯く穴倉の中

029:座(南葦太)

昼過ぎのお好み焼き屋 長椅子に座る少女の胸に棲む鳥

028:脂(南葦太)

アホ面で首から下げたルサンチマン 増やし続ける内臓脂肪

027:損(南葦太)

全損になっちゃうからね 欲望の形自体が違うのならば

026:シャワー(南葦太)

カスケードシャワーのように降り注ぐ 思い出 痛み 光 眩しい

025:触(南葦太)

触角のもげた蟻とは違うから九月になればくるくる廻る

024:玩(南葦太)

玩ぶ いつか母乳に含まれるカルシウムへと還りつくまで

023:必(南葦太)

新しい世界を手に入れよう 秋にぶっ壊れてやる必要もない

022:突然(南葦太)

寝かけると突然強い雨が降る 本気で軽く死ねそうな闇

021:示(南葦太)

雷のフラッシュライトで撮る写真 取り残された指示代名詞

020:劇(南葦太)

愛という更新中の五里霧中 劇中劇に熱中しよう

019:そっくり(南葦太)

後悔にそっくりだった病犬がいつまでも吠え続ける 何に?

018:希(南葦太)

在り様は同じ 希望も絶望も とりあえずコーヒーでもいかが?

017:従(南葦太)

I plus You equal We 従って我「ら」が侭に行く our pace

016:力(南葦太)

負けまいと込める力の集束は平たく言えば断熱材だ

015:図書(南葦太)

秋色の空気 あなたの思い出は読むべき本を探す図書館

014:偉(南葦太)

ようやっと睡魔がスイマセンねって偉そうにして訪ねてきたし