連作20首:2010年4月の桜

April come she will って言ったっけ だいぶ昔に聴いていた歌

加速するための両足 てっぺんは 駅前 つまり君の待つ場所

目標は3C出口だってのにやっぱり君は方向音痴

過ぎ去った時の分だけすり減ったソールの靴で目指す公園

散歩道 四つ葉のクローバー さっき君にマーブルチョコをもらった

安らぎは ほら 今 君の(常識を共有できる人の)隣に

土筆から始まりどこに転がっていくんだ(昼はうどんね)会話

公園で遊ぶ子供のなれの果て 僕らにはブランコ小さ過ぎ

未来って見えると見えないなら どっち? 意味のないたとえばの話で

ひだまりの中僕たちは立体であることを決めそして進んだ

夕暮れと梅酒ロックと鶏鍋と伸ばし始めた髪の長さと

それもまぁあり冷え性の君のためホットカーペットとしての生

鼻先に突きつけられた鼻先が泣くほどリアル 泣いてはいない

生きにくい世界だ 君のシャツさえも左利きには優しくなくて

つまりもう要らなくなったってことか 楽園行きの片道切符

雨音を聞いてたような気もするし君の鼻歌だった気もする

起きぬけに春だねぇってありがちなセリフとともに飲むミルクティー

三階に家無き覚悟 出て行くよ 前より広い新居は二階

この手から零れ落ちてく 些細な差 だからこそ僕らは手をつなぐ

この春に僕たちは結婚します 2010年4月の桜